動画再生数とコンバージョン、季節商品の売上と気温の方程式を求めるグラフによる分析
執筆者
認定心理士マーケター
村田芳実
コンバージョン数=0.13×動画再生数+0.98 |
このような方程式があれば、動画再生数をどのくらいになれば、目標とするコンバージョン数を達成できるかがわかります。また、気温と売上の方程式がわかれば、天気予報で将来の売上げ予測ができます。今回は、エクセルのグラフ機能を使って、動画再生数とコンバージョンや売上げと気温などの方程式を求める方法について説明します。
【マーケティング施策の適正化】
マーケティングにもKPI(重要業績評価指標)が求められるようになってきました。しかし、指標達成のために何をすべきか悩んでいるマーケターも少なくありません。マーケティングにとってコンバージョンは重要な業績評価指標であり、動画再生数とコンバージョンの方程式が求められるなら、コンバージョン目標の達成のためには動画再生数をどのくらい増やせばよいかがわかります。しかし、方程式を求めるのは簡単ではありませんでした。そこで提案するのがグラフによる方程式の導出法です。
【気温による売上予測】
また、方程式を求めることで、将来予測が可能になることがあります。
気温の上昇とかき氷の売上げには強い相関があることが知られていますが、売上げを予測する方程式を導くのは簡単ではありませんでした。この関係が方程式化できれば、天気予報で発表される予想気温を方程式に代入することで、かき氷の売上げが予測できます。予測される気温や湿度は天気予報で発表されますので、温度あるいは湿度と売上に相関するサービスや商品に有効です。
ウェザーニューズは、Google検索数と気象データから相関関係を分析し、相関関係ランキングを発表しました(https://jp.weathernews.com/news/33747/)。これらに関係する業種は、気温あるいは湿度と売上のグラフ分析をされることがおすすめです。
方程式を導き出すサービスもあるようですが、このスキルを獲得すれば、外注に出す必要はありません。
【グラフによる分析法】
エクセルのグラフ機能を利用すれば、方程式を簡単に導き出すことができます。
このようなデータをエクセルで用意します。
赤線で囲んだ部分をドラッグします。
「挿入」をクリックすると「散布図」のボタンが出てきます。
青で囲んだ部分をクリックします。
そうすると、散布図が出てきます。
散布図の任意の点にカーソルを合わせて右クリックをすると、画面のように「近似曲線の追加」が出てきますので、これをクリックします。
そうすると、右の図のようなボックスが出てきますので、「グラフに数式を表示する」「グラフにR-2乗値を表示する」にチェックを入れます。
「グラフに数式を表示する」をチェックすると近似曲線が現れます。
近似曲線とは散布図の傾向を曲線で表したものです。
「グラフにR-2乗値を表示する」をチェックすると相関係数の2乗が現れます。
このように方程式と相関係数の2乗が現れます。Rの2乗も0.5以上となっており、強い相関があることがわかりましたので、この方程式は信頼できるでしょう。
0.5以下であれば、相関は弱いと判断したほうが良いでしょう。
【方程式の利用法】
これにより「y=0.1269x+0.9846」という方程式が得られました。
それでは、1日の目標コンバージョン数を6とした場合に動画再生数を何回にすべきかを求めてみましょう。
y =0.1269x+0.9846のyに6を代入すると6 =0.1269x+0.9846となりこれを計算すると、x=39.5となります。
したがって、この場合、コンバージョンの目標達成のために、動画再生数40回を目指して邁進すればよいということです。
また、かき氷で、「売上=1000×気温+5000」という方程式が得られたとします。明日の予想気温が30度の時は「1000×30+5000=35000」ということになります。また、2週間の気温予報や1ヶ月・3ヶ月の長期予報があります。しかも、地域別の予報も行われますので、これに合わせた在庫管理や生産管理、収益管理ができるということになります。
【まとめ】
マーケターは数値的評価を求められるようになりました。そこで、使えるのが方程式化ですが、エクセルのグラフ機能を利用すれば、簡単に方程式を導き出すことができます。そこで、方程式の導き出し方を図説解説してきました。一回経験すれば、簡単に分析することができますので、データができたら分析してみることがおすすめです。このスキルを獲得したら、あなたへの信頼性がアップすることでしょう。
【執筆者プロフィール】
執筆は、心理学とマーケティングに詳しい村田芳実氏に依頼しました。
日本心理学会認定心理士・マーケター。一部上場の機械メーカーで、ユーザー会の立て直し、ブランディング、顧客満足のミッションを受け、心理学を応用することでミッションをクリア。『心理学と統計分析が最強の武器になるマーケティング戦略https://amzn.to/3ghFw3A』の執筆者