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購買心理を促進する方策① 他人の行動を利用する3つのポイント

経営者・マーケターなら、購買心理を促進する方法を知りたいものですが、これまで、明らかにされてきませんでした。しかし、心理学ではその研究が進んでいます。その一つが、人間は他人の行動に影響されるという心理セオリー「社会的証明」です。今回は、「社会的証明」を利用して購買心理を促進する3つのポイントについて説明します。

 

【社会的証明が動き出す時】

心理学者のソロモン・アッシュは、社会的証明の実験をしました。被験者7人のグループが一組となり、そのうち6人が実験者アッシュの助手(サクラ)で、1人だけが実際の被験者でした。実験者は図のように標準の線分を呈示し、また比較のために3本の長さの違う線分A、B、Cを呈示し、そのうちの1本は標準の線分と同じ長さでした。そして、全員(6人のサクラと1人の被験者)に、標準の線分と同じ長さの直線を言うように指示しました。そして、サクラ全員が正解を回答するパターン、サクラの一部が正解を回答するパターン、サクラ全員が誤った線分を回答するパターンで、実際の被験者の反応を調べました。他人(サクラ)の行動に同調するかを調べたのです。この実験を50人の被験者に対して行いました。
実験の結果、回答の32%で同調していたことが分かりました。そして、およそ75%の人が少なくとも一回以上同調したのです。他人の行動に影響されなかったのは1/4に過ぎないという結果でした。社会的証明が働くことを実証したのです。(※1)

しかし、社会的証明が効果的に働くポイントがあるのです。

① 相手が多いほど行動や意見の影響を受ける

アメリカの心理学者のS.ミルグラムなどの実験によると、雑踏の中で何人かの協力者で空を見上げると、それを見た通行人は立ち止まって空を見上げる人たちがいます。協力者の人数が増えるほどに立ち止まる人が増えるのでした。

② 状況が曖昧な時ほど社会的証明が活性化される

ロバート・B・チャルディーニ「社会的証明の2つの状況において最も強い影響力を持つ」と述べています。次の太文字は、チャルディーニの著書(※2)からの引用です。

「一つは不確かさである。すなわち、人は、自分が確信を持てないとき、あるいは状況が曖昧なとき、他の人々の行動に注意を向け、それを正しいものとして受け入れようとする」
例えば、トイレットペーパーが不足するというデマが流れました。製紙業界や行政が否定しても、SNSの投稿は収まらず、状況が理解できずに多くの人々がトイレットペーパーの購入に走ったのです。

③ 類似性がある人の言動で社会的証明が活性化される

「第二の条件は類似性である。すなわち、人は自分と似た他者のリードに従う傾向が強い。類似した他者の行動が人々の行動に強い影響力を持つことを示す」
例えば、後追い自殺も社会的証明の影響だと考えられます。これをウェルテル効果と言いますが、名前の由来は、ゲーテの「若きウェルテルの悩み」です。主人公が自殺する小説に影響を受けた若者たちが、主人公を真似て自殺し、ヨーロッパ各地で発行禁止になるほどの社会現象となりました。日本でも、芸能人の自殺に対して、ファンが同調(考え方に類似性がある)して自殺が相次ぎました。

【社会的証明の実例】

渋谷の駅前交差点で、サッカーの試合が終わった時に、サポーターが集まる様子がテレビで放映されました。そして、サッカーの日本代表の試合があるたびに多くの人々が集まり大騒ぎになりました。これは社会的証明の心理によるものと言えます。多くの人が集まるということとサッカーファンという同調しやすい条件があるということです。

また、心理学者のアルバート・バンデューラは、子供たちの犬嫌いを治す治療を行いました。犬を怖がる子供たちに4日にわたり毎日20分間、子供が犬と遊んでいる映像を見せたところ、67%の子どもが犬と遊ぶようになったということです。実際に子供が犬と遊んでいるところを見せなくても、映像を見せても社会的証明は機能したのです。

トイレットペーパー、ドラゴンクエストソフトやゲーム機などの発売のときに私たちは購買心理を促進されました。共通点は、テレビのニュースで多くの人が行列に並んでいる様子が放映され、トイレットペーパーについては主婦が列を作り、ゲームソフトやゲーム機はゲーム愛好家が並んでいました。主婦やゲーム愛好家という類似性のある人々の購買意欲を促進したのです。

【マーケティング・営業活動に活用するコツ】

「お客様の声」を紹介するCMがありますが、これは社会的証明の効果を狙ったものだと思います。しかし、「お客様の声」のCMを行う場合、一人だけのコメントを紹介するだけでは、社会的証明は起動しないので、数多くのお客様のコメントを紹介する必要があり、しかも、数多くのカテゴリー(性別や年齢層類似性など)の人のコメントを紹介する必要があります。BtoBでは、カテゴリーは、規模、業種などということになります。CMとして流すだけでなく、サイトに規模、業種ごとに整理しておくと閲覧者に訴求しやすくなります。

また、BtoCの場合は、バンデューラの実験のように、商品やサービスを使用して、多くの人が喜んでいる姿を映像で紹介することも良いでしょう。動画には、記憶促進、ニーズ喚起という効果(※)がありますので、相乗効果も期待できるでしょう。

(※)動画には、膨大な情報量短時間に伝える効果や、注意喚起、記憶促進、ニーズ喚起の4つの効果が明らかになりました。詳しくは、ホワイトペーパー「動画の有効性に関するエビデンス、データ、ノウハウ集」をご覧ください。URL:http://yonohi.net/douga_marketing/

 

このセオリーを活用した動画の事例には次のようなものがあります。

 

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