動画マーケティングレポート

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マーケターに求められる統計スキル エクセルで簡単にできる相関関係の求め方

執筆者

認定心理士マーケター

村田芳実

 

マーケティングにおいて、相関という言葉を使うことは少なくありません。しかし、その人々の中には相関を理解していない人も散見されます。今回は、動画の再生数とコンバージョン数を想定して、相関検定を実施する方法について解説します。簡単ですので、ぜひ試して読者のスキルに加えてください。

ちなみに、私は心理士であり、心理学の研究にとって統計は不可欠です。また、ビッグデータの分析や株価分析、為替分析で相関分析を行ってきましたので、分析の経験は豊かです。

本レポートは学術的な情報はありませんので、それをお望みの方は他を当たってください。

 

【背景】

相関に関するweb記事の中には、相関を理解されていない記事があります。googleアナリティクスでの相関についての記事もありますが、記事を読んでも相関関係についての検証はされていません。マーケティングに統計は必要だといわれながら、これが現状です。

 

例えば、動画の視聴数とコンバージョン数に強い相関があれば他の施策を行うのは、コスト・時間・労力の無駄です。相関が明確になれば、視聴数アップのための施策に全集中するだけです。

 

マーケターは、経営や上司からマーケティング施策の成果を求められ、マーケティング会社は自社の施策の検証が求められます。これを実現するのが統計ですが、統計は専門的で分析には時間と費用が掛かるというのが多くの人のイメージでしょう。マーケターやマーケティング会社は、統計分析の導入の必要性は認識しながらも先延ばしにしている現状があります。これを解決するのがエクセルを使った統計分析です。

 

【導入メリット】

Webマーケティングでは、PV・UU・セッション数・回遊数とコンバージョンの相関、営業管理として訪問数・提案数と売上高の相関などがわかれば、マーケティング施策の最適化が可能となります。例えば、コンバージョンを増加させたいなら、PV・UU・セッション数・回遊数のうち、どれを集中的に増加させれば良いのかがわかります。これによって、重点的に実施すべきマーケティング施策が明確になります。

 

また、数値は大きな説得力を持ちます。あなたが実施したアニメ動画の企画がコンバージョンを増加させたと主張するときに、統計的に相関係数を呈示することで、経営や上司は納得することになるでしょう。また、マーケティング会社にとっては、統計的に成果をアピールできるメリットもあり、統計を使うことで差別化できるというメリットもあります。

【相関関係とは】

動画の再生数とコンバージョン数を例にとると、再生数が増加するとコンバージョン数も増加する場合に「相関がある」と表現します。「再生数(↑)⇒コンバージョン数(↑)」という関係です。相関がある場合、グラフのように、右肩上がりになります。横軸が再生数で、縦軸がコンバージョン数を表しています。この場合は、再生数がコンバージョンに影響を与えているので、因果関係があるということでもあります。

また、このように、右肩上がりになる場合を正の相関といい、右肩下がりになる場合負の相関といいます。例えば、価格が上昇するほど売上が減少する場合は負の相関があるということになります。

【相関検定の図説説明】

相関検定においては、相関係数を求めます。相関係数は、0~1の数値で表され、数値が大きいほど強い相関があります。また、負の相関は「-(マイナス)」で表記され、-1に近いほど強い相関があります。

難しい話は抜きで、相関係数を求める簡単な方法を説明していきます。

 

日々の動画の再生数とCV(コンバージョン)のデータはデータ表のようになったとします(このデータはダミーで、実際のデータではありません)。このデータを進呈しますので、試してみてください(申し込み法は後述)。じっくり見ていくと、再生数が大きいほど、CVも大きくなっているように見えます。

このデータの相関係数を求めていきます。エクセルの「数式」をクリックして「オートSUM」をクリックします。

次のような画面が出てきます。その中から、「その他の関数F」をクリック。

右の画面が出てきますので、「関数の検索(S)」に「関数」と入力して「検索開始」をクリックします。

すると、「CORREL」が出てきますので、「OK」をクリックします。

右のような画面が出てきたら、「配列1」を指定して、前述のデータ表のB2~B27をドラッグして、次に「配列2」を指定してC2~C27をドラッグして、「OK」をクリックします。

 

そうすると、「0.850…」が出てきます。これが、相関係数です。

【相関係数判断基準と検定】

相関係数が求められたら次の基準を見てください。

 

①相関係数が0.2以下の場合:相関なし

②0.2~0.4の場合:弱い相関がある

③0.4~0.7の場合:相関がある

④0.7~0.9の場合:強い相関がある

⑤0.9~の場合:ほぼ完全な相関がある

 

この例は、0.85ですから「強い相関がある」ということになります。

相関係数0.7以上の「強い相関」の時には、自信をもってアピールできると思いますが、それ以下の時には、さらにデータを蓄積して再検定することをおすすめします。

 

上司や経営に対して「動画の再生数とコンバージョンには、相関係数0.85で強い相関があることが分かりました。動画はコンバージョンアップに有効です。」と報告してください。あなたの株が上がるでしょう。アニメ動画の効果が、統計的数値的に検証できるのです。上司を説得する情報となります。

 

また、マーケティング会社が、あるマーケティング施策を行ったら、コンバージョンが増えたとアピールすることがあります。しかし、統計的数値的に検証した結果ではありません。相関検定を行えば、マーケティング会社にとっても、自信をもってクライアントにアピールでき、信頼性向上になるでしょう。また、見込み客にデータのエビデンスに基づいた説明することができるため、説得力が向上します。それとともに、統計を導入していない会社を差別化することができるということになります。

 

【まとめ】

相関という言葉を使いながら、相関の知識が少ないマーケティング関係者が多いことに驚かされます。統計というと高いスキルと分析時間がかかることから、回避される傾向がありました。これを解決するのがエクセルの分析ツールです。分析方法を図説しましたが、簡単に分析できることがご理解いただけたと思います。是非、一回試してみてください。あなたのスキルアップにつながるはずです。

 

【相関の元データダウンロード】

今回使用した相関データを配布します。ダウンロードリンクよりダウンロードしてご利用ください。

相関データサンプルダウンロード

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