売上が赤字にならないためのポイントを解説！赤字経営にメリットも？

一般的に赤字という言葉にはいいイメージがありません。

企業の経営ではなんとかして黒字にしようと、対策を練っているはずです。

しかしなかなか思い通りにはいかないもので、頑張ってギリギリ黒字になったり赤字だったりする月もあると思います。

この記事を読めば、売上が赤字にならないためのポイントや損益分岐点の考え方が分かります。

赤字にはメリットもあるので、節税に興味がある人はご確認ください。

売上が赤字になるとは

売上よりもコストが上回っている状態が赤字です。

経理では「当期純損失」や「営業赤字」と呼び、企業が発展する兆候が見えない状態を指します。

当期純損失は最終結果がマイナスになっている状態です。

経理の赤字の場合は、売上よりも借入金や減価償却費などの合計が多い状態をいいます。

借入金とは債務のことで、約束手形や借用証書などを用いて借り入れをしたさいに発生します。

減価償却費とは固定資産の取得にかかった費用を、使用可能な期間に分けて計上する方法です。

売上を黒字化するポイント「損益分岐点」を解説

「損益分岐点」は売上を黒字化するうえで重要なポイントですが、その特徴を解説します。

そもそも「損益分岐点」とは

損益分岐点とは、損（費用など）と益（利益）の分かれ目になるポイントを指します。

売上から費用を差し引くと0円になるのが損益分岐点の特徴で、売上が費用（固定費と変動費）を上回ったときに利益が出るのです。

固定費は家賃などの変わらない費用のことで、変動費は仕入費など変動の可能性がある費用を指します。

つまり固定費と変動費を上回る利益を出せば、経営が黒字化するのです。

経営を黒字にするには

基本的には以下の手順で、経営が黒字化します。

1. はじめに固定費を回収する
2. 固定費の後に変動費を回収する
3. その後も売上が上がれば、少しずつ利益が上がる

はじめに固定費を回収するのが理想ですが、実際には変動費を先に回収することになります。

以下ではシンプルな事例で解説をしましょう。

たとえば800円で仕入れた品物を1,000円で売るとき、変動費は800円で利益が200円です。

上記では既に変動費の回収ができていますが、品物が売れずに800円で販売しなければならなくなったとしましょう。

800円で販売した場合は、固定費の分を回収できていません。

このような状態が続けば経営困難に陥り、いずれ廃業を考えなくてはならなくなります。

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損益分岐点の計算式と改善方法

損益分岐点を計算しただけでは赤字は改善されません。

固定費や変動費で、削減できる箇所があるはずです。

損益分岐点の計算式

損益分岐点の計算式は、それほど難しくありません。

以下の二通りがあります。

1. 損益分岐点=固定費÷｛1-（変動費÷売上高）｝
2. 損益分岐点=固定費÷（1-変動率）

赤字の改善方法・固定費を削減する

ここでは赤字のときの改善方法として、固定費の削減を確認しましょう。

固定費を削減するために必要なことは、労働時間の管理です。

人件費は固定費の多くを占めているので、この部分を削減できなければ固定費の削減は難しくなります。

残業の原因がリソースの不足なら、正社員にスキルが必要な仕事を割り振りするためにパートやアルバイトを活用しましょう。

リソースとは資源や資産を意味する言葉で、ヒトやモノ、カネなどを指す言葉です。

自社の人材だけで仕事をすることが難しければ、一部の仕事を外部に委託する選択肢もあります。

外注費がかさむので外部への委託を躊躇しがちですが、費用対効果を考えればメリットがあるのです。

アナログで行っていた取引のデジタル化

基本的に私たち日本人は今までに前例がない場合、なかなか受け入れることができない性格です。

パソコンから印刷した書類に捺印をして、スキャナーで再びパソコンに取り込む作業を経験した人もいるでしょう。

作業の意味が分からない状態で手を動かしていても、効率化にはならないのです。

取引をデジタル化すれば簡略化できる作業があるだけではなく、紙代や印刷用のインク代などの削減になります。

デジタル化するためのシステムの導入にもお金がかかるので、アナログのときとコストを比べるのが大事です。

赤字の改善方法・変動費を削減する

売上高の増減に伴って増えたり減ったりする変動費を削減するには、仕入れや在庫に注目しましょう。

「仕入れが上手なら儲けるのも上手だ」という考え方がありますが、得意先に圧力をかけて値引させるのが正しいとは言えません。

ここでは、効率良く仕入れを行うために4つのポイントを紹介しますう。

• 仕入れの量を増やす
• 現金で仕入れをする
• 仕入れ先を限定する
• しっかりと在庫管理を行う

仕入れの量を増やすとは、毎月仕入れをすることが決まっている得意先にて、大量に仕入れをして値下げをしてもらう方法です。

利益に繋げるには、過剰在庫や余剰在庫の管理を徹底しなければなりません。

ニーズがある量よりも多く商品を仕入れてしまった状態を、過剰在庫といいます。

余剰在庫とは、多く仕入れた商品が売れずに倉庫などで放置されている状態です。

このような商品があれば当然、効率良く売上アップができないでしょう。

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じつは赤字経営のメリットもある

赤字経営であっても、必ずしも倒産するわけではありません。

企業の社長がお金を持っていたり、経理上はお金があったりする場合があるからです。

ここでは企業が赤字経営を希望する理由を解説します。

あえて赤字経営にしたい企業がある

企業があえて赤字経営にしたい理由は、高い法人税を支払いたくないからです。

赤字決算なら、企業が支払うべき法人税は最低限で済みます。

経理上では、経費になるお金とならないお金が細かく分けられています。

従業員は自社が支払う税金をなるべく少なくしたいのです。

自社が儲かれば給料が上がる可能性がありますが、儲からなければ給料がなかなか上がりません。

ところが経理担当者は、経費になるお金とならないお金をしっかりと区別する必要があります。

所得税も抑えられる

上記では法人税が抑えられることを解説しましたが、課税所得自体を抑えられるので所得税も安くなります。

また企業の税金には、赤字になったときに一定期間分、将来の黒字と相殺できる「繰越欠損金」があります。

赤字経営が続くのは、企業にとってもいい状態だとは言えません。

しかし節税のために、上手に調整をしている企業もあります。

まとめ

損益分岐点や赤字にならないための考え方を解説しました。

いつも通りの経営をしていて利益が出ないのなら、対策を練る必要があります。

しかし、赤字になったら必ずしも企業が倒産するわけではなく、メリットもあります。

赤字でも黒字でも自社の状況をきちんと把握して、利益に繋げることが重要です。